
「酔っ払いといえば……な2人」。そんな一言から始まったコラボが、まさかここまで艶っぽい仕上がりになるとは思わなかった。
一条莉々華と儒烏風亭らでんが「酔いどれ知らず」の歌ってみたを公開した。普段の配信では明るく賑やかな2人が、この曲では一変して大人びた表情を見せている。その落差こそが、この歌ってみたを何度も聴き返したくなる理由だ。
歌ってみた概要
- 曲名:酔いどれ知らず
- 歌唱:一条莉々華、儒烏風亭らでん(りりらでん)
- 原曲:Kanaria feat. GUMI
- 公開日:2026年8月6日
- Mix:水兎ヨル氏
- Inst:ふじそば氏
- Movie:4ishii / あいしー氏
- イラスト:KANOSE氏
- 動画:YouTube「【歌ってみた】酔いどれ知らず【りりらでん】#hololive」
この歌ってみたの最大の魅力は「声のコントラスト」
この歌ってみたの軸になっているのは、2人の声質がまったく違う方向を向いているということだ。
莉々華の声は、澄んでいて芯がある。対するらでんの声は、ハスキーで少し掠れていて、低い位置にどっしりと構えている。似たタイプの声を重ねるデュエットも多いなかで、この2人はむしろ「違う」ことを活かしている。
明るさと暗さ、軽さと重さ。その対比が、そのままこの曲の持つ「泥泥」「酩酩」といった濁った響きの歌詞世界と重なっていく。
歌声の分析
一条莉々華──クリアで伸びやかな高音

莉々華は0:09からのソロ「夢が覚めた 酔いどれ知らず……」で歌い出しを担う。声の輪郭がはっきりしていて、力みがない。語りかけるように吐息を混ぜながら言葉を置いていくフレーズ処理が印象的だ。
サビの上パートや、フレーズの終わりで音を伸ばす部分では、抜けの良い高音がそのまま活かされている。ビブラートを深くかけるのではなく、語尾をすっとほどくように収める歌い方で、原曲の持つ怠さのようなニュアンスを崩さないようにしているのが分かる。
儒烏風亭らでん──ハスキーで艶のある低音

らでんは0:17から「くたびれては 酷く見える……」のパートで入ってくる。ここで声の重心がぐっと下がる。エッジの効いたハスキーな声色が、莉々華の透明感のある声とは対照的な質感を作っている。
低音パートやAメロ・Bメロの土台を支える役割を担いつつ、単に低いだけでなく、掠れの中に色気を感じさせる歌い方をしているのがこの人の持ち味だと感じる。
サビで重なる2つの声

0:41からのサビ「そして泥泥 はられあられ……」では、2人の声が重なる。ここまで対照的だった声が合わさることで、単独では出せない厚みが生まれている。
Bメロでは莉々華とらでんが交互にフレーズを歌い継ぐ構成(0:26、0:34)になっており、サビでのユニゾン・重ねが際立つように作られていると感じる。1:42のラストサビでも同様の重なりがあり、終盤に向けてもう一段声の密度が増していく。
歌声を一言で表すなら
「華やかさと深みが交差する、芳醇で色っぽいデュエットボイス」
明るく澄んだ高音と、ハスキーで艶のある低音という、質感の異なる2つの声が主張を保ちながら重なり合っている点が、この歌ってみたの核だと感じる。
原曲との違い
原曲であるKanaria feat. GUMIの「酔いどれ知らず」は、ボーカロイド特有の無機質さとスタイリッシュさが際立つ楽曲だ。
今回の歌ってみたでは、人間の声、しかも質感の異なる2人の声が入ることで、原曲よりも生々しさや湿度のようなものが加わっている。原曲の「醒めた無機質さ」に対して、りりらでん版は「体温を感じる艶っぽさ」に寄っている、という違いだ。優劣ではなく、方向性が変わったと捉えるのが正確だろう。
「酒担当」の2人がこの曲を歌った意味
莉々華は動画概要欄で
「酔っ払いといえば……な@JuufuuteiRadenと一緒に歌いました✨」
と述べている。
らでんは莉々華と共に、日本酒紹介配信「りりらでん 日本酒の会」や晩酌雑談配信を行っており、莉々華も配信でお酒を楽しむ様子を見せている。2人ともReGLOSSの中で「お酒好き」として知られる存在だ。
「酔っ払いといえばこの2人」という概要欄の一言から見ても、ReGLOSSの中での2人のキャラクター性と、酒や泥酔をテーマにしたこの曲の世界観は、狙って合わせられたものだと考えられる。
普段のフランクな配信の姿とはギャップのある、大人っぽく色気のある歌唱を見せてくれたことに、驚きと嬉しさを感じるファンは多いはずだ。
MV・映像の見どころ
MVはKANOSE氏による描き下ろしイラストを使った2Dモーショングラフィックで、4ishii / あいしー氏が制作を担当している。

りりらでんの2人が画面の左右に配置され、らでんはメガネと酒器、莉々華は編み込みヘアと肩を出したドレス姿で描かれている。背景は暗めの色調に、大きな「酔知」のネオンロゴと彼岸花・椿のような赤い花があしらわれている。

0:41のサビ入りでは、この「酔知」のネオンが赤く発光し、画面全体が赤みを帯びる演出がある。黒を基調にした画面の中で赤が差し込まれることで、歌詞の「泥泥」「酩酩」といった濁った言葉のイメージと呼応しているように見える。

終盤(1:58付近)にはノイズ・グリッチのようなエフェクトが入り、酔いや夢が醒めていくような儚さを感じさせる作りになっている。
English Explanation
1. 「酔っ払いといえば」("Speaking of being the drunk ones...")
What it means: In the video description, Ichijou Ririka wrote that she sang with Juufuutei Raden because the two of them are "the drunk ones" — a reference to their established in-fandom reputation, built from their own streams, for enjoying and talking about alcohol (Raden's sake-review streams, Ririka's after-work drinking chats).
Why it matters: Without knowing this background, the line reads like a throwaway joke. With it, the song choice — a track about drinking and losing yourself in a night of intoxication — becomes a deliberate match between the singers' streamer personas and the lyrics.
2. 酔いどれ知らず (Yoidore Shirazu) — the song title
What it means: The title combines "酔いどれ" (yoidore, "a drunkard") with "知らず" (shirazu, "not knowing"). Fan lyric-analysis of the original Kanaria track commonly reads this as the narrator saying they don't know anyone more drunk than themselves — in effect, "no one out-drinks me," said self-referentially about their own state.
Why it matters: Rather than a simple description, the title works almost like a boast or a resigned joke about one's own drunkenness — a nuance that a literal word-for-word translation ("drunkard-not-knowing") doesn't capture on its own.
3. うっちゃる幸せ (Utcharu Shiawase)

What it means: "うっちゃる" (utcharu) is a casual, spoken-style Japanese verb meaning "to throw away" or "to toss aside." So "うっちゃる幸せ" literally means "the happiness I'm throwing away."
Why it matters: It's a striking phrase because "happiness" is normally something people hold onto, not discard. Coming right after lines about a drunken, sleepless night, it suggests the narrator is willingly giving up on happiness — or numbing themselves to it — rather than losing it by accident.
4. 泥泥 / 酩酩 (Dei-dei / Mei-mei)
What it means: These are stylized, repeated readings of kanji related to "mud" (泥) and "drunkenness/intoxication" (酩), used in the lyrics more for their sound and visual weight than as standard dictionary words.
Why it matters: The repetition creates a slurred, woozy feeling in the lyrics themselves, matching the song's drunken theme — a nuance that's hard to carry over in direct translation, so the article keeps the original Japanese text when quoting these lines.
過去作品との比較


らでんは、2023年9月26日の歌枠配信「【歌枠】祝!収益化!感謝を込めて歌います【儒烏風亭らでん #ReGLOSS】」の中で、すでに「酔いどれ知らず」を歌っている。そして、莉々華も、2024年7月7日の歌枠配信「【#ReGLOSS歌枠リレー】七夕のリクエスト歌枠🎶初出曲多め!!【#一条莉々華/ hololive DEV_IS ReGLOSS #ホロライブ】」の中で同曲を歌っている。
今回の歌ってみたは、2人にとって初めて歌う曲ではなく、それぞれ別の機会に歌枠で披露していた曲を、2026年になって改めてデュエットカバーとして形にしたものだ。
配信での弾き語り・カラオケ的な歌唱と、Mix・Inst・MVを制作したうえでの歌ってみたでは、当然仕上がりの作り込みが異なる。今回の歌ってみたでは、それぞれが単独で歌っていた過去の歌枠にはなかった、2人の声が重なるサビが新たに生まれている点が、この曲における違いとして挙げられる。
今回の歌ってみたは、ReGLOSSとしての活動の積み重ねの上にあると同時に、2人それぞれにとっては「酔いどれ知らず」という曲との再会でもある。
ファン・SNSの反応
YouTubeコメント欄では、2人の普段のキャラクターを踏まえたコメントが目立つ。
「×酔いどれ知らず ︎⚪︎いつも酔ってる」
「妖艶なお姉さん感がある… 神coverだ」
「いつかこの二人で歌う義務があったまである曲」
「二人とも本当にうまくなったなぁ、感動してないちゃいそう」
特に聴いてほしいポイント
0 : 17〜
らでんの低音パート
「くたびれては 酷く見える」のフレーズ。ハスキーな声色がそのまま活かされた、この歌ってみたの温度感を決めるパートだ。
0 : 41〜
サビでの2人の重なり
「そして泥泥 はられあられ……」。対照的だった2つの声が合わさり、厚みのあるデュエットになる部分。
1 : 17〜
莉々華「ねぇ見てきれい」
語りかけるような艶のあるフレーズ処理と、吐息の余韻を聴いてほしい。
まとめ
莉々華とらでんの「酔いどれ知らず」は、明るく澄んだ声とハスキーで艶のある声、この2つの質感がぶつかり合うことで生まれるデュエットだ。
原曲の無機質なスタイリッシュさに対して、人間の体温を感じさせる艶っぽさに仕上がっている点も、聴き比べる楽しみになる。
「お酒担当」として知られる2人が、この曲を選んだ理由は本人の口から詳しく語られてはいないが、普段の配信でのキャラクターと重ねて聴くと、また違った聴こえ方をするはずだ。
文章で伝えられるのはあくまでニュアンスまで。ここまで読んだら、ぜひ実際の歌声を動画で聴いてみてほしい。














